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損害賠償請における交渉とはなにをするのですか?

損害賠償請求を行うときには、まずは相手(加害者)との間で「交渉」を行うのが基本です。
交渉とは、いわゆる「話合い」のことです。損害賠償の話合い(交渉)のことを、一般的に「示談」と言います。
損害賠償金の支払いを受けるためには、まずはどのような損害が発生しているのか、そして、その損害をどのように評価するのかを決めなければなりません。
そして、その内容について、被害者と加害者の双方が合意する必要があります。
そこで、話合いによって、その内容をすりあわせ、合意を目指すのです。

損害賠償のために交渉を行う場合、通常は「内容証明郵便」によって、支払い請求の通知を送ります。
これによって、その日に損害賠償請求を行った事実が明らかになります。
請求書を受けとったら、相手が返答をしてくるものです。ただ、放っておいても返答をしてこない場合には、請求者の方から連絡を入れる必要があります。

そして、相手に対し、請求内容についての意見を聞きます。相手が受け入れるということであれば、その内容で示談が成立しますし、納得しないということであれば、反論を聞きます。相手に対案があれば、対案を出してもらい、今度はその内容を被害者側が検討します。
このように、交渉では、お互いが意見を出し合って、少しずつ合意に向けて進んでいきます。
最終的に合意ができたら、「合意書」「示談書」を作成して、その内容に従った損害賠償金(示談金)を受けとることができます。

損害賠償請求において、どのような場合に交渉をするべきですか?

損害賠償請求の方法には、いくつかの種類があります。 中でも、「交渉」を選択すべきなのは、どういったケースなのでしょうか?以下で、検討してみましょう。

交渉は、損害賠償の基本

損害賠償をするときには、ほとんどどのようなケースにおいても、とりあえず、基本的に交渉をしてみるべきです。 損害賠償請求の交渉以外の方法には、調停や訴訟がありますが、これらの手続きを利用すると手続も煩雑で時間もかかりますし、相手との関係も悪化してしまいます。

そこで、交渉で解決できる可能性があるなら、先に交渉を試してみる価値があるのです。 事案によっては、「交渉を持ちかけても、どうせ支払に応じるはずがない」と考えることもあります。その場合でも、念のため、事前に一度交渉を持ちかけてみて、ダメだった場合に裁判をしても遅くはありません。

交渉が特に向いているケース

中でも、交渉が特に向いているケースがあります。 1つ目は、相手が話合いに応じそうな場合です。損害賠償請求の相手が常識のある人や会社であり、謝罪意思を持っていて資力もある場合などでは、交渉によって適切な損害賠償金の支払いを受けられる可能性が高いです。そこで、こうした場合には、交渉をしてみる価値が非常に高いです。 また、相手との関係を悪化させたくない場合も、交渉に向いています。 交渉は話合いであり、対立する方法ではありません。そこで、交渉によって解決ができると、お互いの関係が悪化しにくいです。

たとえば、相手が友人であったり、学校や会社などであったりして、今後も付き合いの続く相手である場合、交渉によって解決をした方が、後々の関係を維持できて、お互いにメリットがあるケースがあります。

交渉が向いていないケース

中には、交渉が向いていないケースもあります。 交渉を進めるには、相手が交渉に対応しなければなりません。そこで、相手が不明な場合や、相手が請求を無視する場合には、交渉による損害賠償請求はできません。 そういった場合には、基本的に裁判によって請求をする必要があります。

相手とはどのような交渉をするのですか?

交渉を行う場合には、お互いの意見や解決案の交換を行います。 具体的には、損害の内容損害額の評価額について、決定していきます。 たとえば、治療費がいくらかかったのか、物が壊れた修理費用はいくらか、休業損害がいくら発生したのか、慰謝料はいくらと評価すべきか、後遺障害が残ったかどうか、逸失利益(将来の失われた収入)がいくらになっているかなどを話し合って決めていきます。 被害者側にも過失がある場合には、双方の過失割合も決めなければなりません。 このような事項について、1つ1つ決めていくのが損害賠償の交渉です。

交渉の方法としては、特に「こうしなければならない」という決まりはありません。 当初は内容証明郵便によって請求をすることが多いですが、その後は事案によって利用しやすい連絡方法を利用します。 もちろん手紙を送り合っても良いのですが、それでは時間がかかるので、普通はメールや電話、FAXなどを使ってやり取りします。面談で話し合ってもかまいません。 ただ、交渉の経過を後から確認したいことがあります。その場合、電話だと形が残っておらず、過去にどのような話があったかがわからなくなるので、重要な事項については、メールやFAXなど、書面に残る形でやり取りをしておくべきです。

また、損害の項目や評価方法など、込み入った内容については、口頭で伝えることは難しいです。表などを使って説明しないといけないことも多いので、やはりこうした細かい内容についても、メールでの添付ファイルやFAX文書などによってやり取りしましょう。 示談書については、被害者と加害者が原本に署名押印しないといけないので、必ず紙にプリントアウトした示談書を使い、郵送か面談によってやり取りをする必要があります。

交渉で解決しなかった場合はどのような手段がありますか?

損害賠償請求を行って交渉をしても、お互いの意見が合わずに解決に至らないことがあります。 交渉は、お互いが話合いによって示談を成立させる方法なので、合意が成立しなければ、賠償金の支払いを受けることができません。 交渉が決裂した場合、調停訴訟を利用することができます。事案によっては、ADR労働審判などの特殊な手続きを利用することも可能です。

調停を利用する

まず、裁判所で行う調停という手続を利用することが考えられます。 調停とは、簡易裁判所において、裁判所の調停委員会の介入のもとに、話合いをする手続きです。損害賠償請求の場合、被害者が申立人となって申立を行い、加害者を相手方として、話し合いを継続していきます。 調停では、基本的に2人の調停委員が間に入って話を進めてくれるので、相手と直接顔を合わせて話をする必要がなく、お互いが感情的になっている事案でも解決しやすいです。 調停で話合いが成立したら、調停調書が作成されて、その内容に従って支払いを受けることができます。

ADRを利用する

ADRとは、裁判外の紛争解決機関です。スポーツや土地境界、製造物責任や下請け取引、ソフトウェアに関する取引など、いろいろな業種で専門のADR機関があります。 ADRを利用すると、ADR機関が間に入って和解あっせん(話合いのあっせん)をしてくれたり、仲裁決定をしてくれたりします。当事者が和解できた場合や仲裁決定の内容を双方が受け入れた場合には、紛争を解決することができて、相手から賠償金の支払いを受けることができます。

労働審判を利用する(労使間のトラブルの場合)

労働審判とは、労使紛争のケースのみで利用できる裁判所の手続きです。会社によって損害を被った場合には、労働審判を利用して会社に損害賠償請求をすることができます。 労働審判でも、和解のあっせんと審判の手続があります。和解の段階で当事者が合意したら、その内容で相手から支払いを受けることができますし、審判結果をお互いが受け入れた場合にも、やはり審判通りに賠償金を支払ってもらうことができます。

訴訟を起こす

訴訟は、どのような損害賠償請求でも利用出来る手続きです。いわゆる裁判のことであり、裁判所に対して損害の発生やその内容を主張立証することにより、裁判所から相手に支払い命令を出してもらうことが目的です。 訴訟を行うときには、法的に主張を整理して、効果的な証拠を適切なタイミングで提出しなければなりません。適切な訴訟活動をすることができないと、裁判に負けてしまって支払い命令を出してもらえない可能性があります。 そこで、訴訟を起こすときには、弁護士に依頼する必要性が非常に高いです。

交渉を弁護士に依頼することもできる

自分たちだけで交渉をして決裂してしまったときには、交渉を弁護士に依頼することも可能です。 被害者が自分で示談交渉をしていると、まともに対応しなかった加害者であっても、弁護士が出てきたら、真剣に応対することがよくあります。一般的に「弁護士が出てきたら、裁判されるかもしれない。大変なことになる」というイメージが強いためです。 また、弁護士に代理交渉を依頼したら、相手方との交渉はすべて弁護士がしてくれるので、被害者は何もしなくてよくなり、手間が省けますし、弁護士が法的知識を使って有利に交渉を進めてくれるので、高額な賠償金を獲得できる可能性が高くなります。 そこで、自分で示談交渉をしてもうまくいかなかったケースでは、一度弁護士に対応を相談してみると良いでしょう。

以上のように、損害賠償請求を行う場合には、まずは交渉を行い、それがダメなら調停、訴訟などの他の手続きに進んでいくのが基本です。 交渉段階でも弁護士に就いてもらったら有利になるので、困ったときには、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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