不法行為とは

不法行為とは

不法行為とはなんでしょうか?

不法行為とは、故意や過失によって、相手に損害を発生させることです。
不法行為を行ったら、その人は相手に対し、損害賠償をしなければなりません。
反対に言うと、不法行為をされたときには、相手に対し、損害賠償請求をすることができるということです。

不法行為で発生する損害とは

たとえば、相手を殴ってケガをさせた場合には、相手(被害者)は病院で治療を受けなければならなくなったり、会社を休まなければならなかったりする可能性があります。このとき、治療費や通院のための交通費、休業損害などが発生します。そこで、殴った人は、相手に対し、かかった治療費や交通費、休業損害などの損害を、賠償(支払うこと)しないといけないのです。

また、不法行為が行われると、慰謝料が発生することも多いです。慰謝料とは、精神的損害に対する賠償金のことです。
悪質な不法行為を受けたり、不法行為によって重大な結果が発生したりしたら、被害者は大きな精神的苦痛を受けます。そこで被害者は、加害者に対して精神的苦痛に対する賠償として、慰謝料請求することができます。
不法行為は、契約によって発生するものではありません。相手が契約違反をしたことにより損害が発生したときには、不法行為ではなく「債務不履行」によって損害賠償請求をすることができます。

そこで、契約関係のない相手から迷惑をかけられたときには、債務不履行が成立しないので、不法行為にもとづいて損害賠償請求をするしかありません。
学校や職場、日常生活などのいろいろな場面において、契約関係の無い人に迷惑をかけられたら、まずは不法行為にもとづく損害賠償責任を検討すると良いです。

不法行為で損害賠償が請求できるときはどのようなときでしょうか?

不法行為にもとづいて損害賠償請求ができる場合は、加害者が故意や過失にもとづいて違法行為を行い、それによって損害が発生したケースです。
いくつかの不法行為成立要件があるので、以下で順番に確認していきましょう。

違法行為

まずは、加害者が違法行為を行ったことが必要です。たとえ損害が発生していても、相手の行為が違法でなければ損害賠償請求はできません。たとえば犯罪行為を行ったときや名誉毀損行為をしたときなど、違法な行為をされたら損害賠償請求ができる可能性があります。

故意過失

次に、加害者に故意過失があることが必要です。たとえ損害が発生していても、相手に故意や過失がないなら、損害賠償請求はできません。不法行為の場合、故意過失については、被害者が立証する必要があります。債務不履行責任なら、故意過失の立証責任は債務者にあるので、債務者が「自分に過失がないこと」を証明しなければなりませんが、不法行為の場合には、立証責任が債権者側にあるので、不法行為責任の方が、債権者の負担が重くなります。

因果関係

不法行為責任が発生するためには、違法行為と損害発生との間に因果関係があることが必要です。このときに必要な因果関係は、「行為と損害の間に何らかの関係があれば良い」という程度のものではなく、「行為によって損害が発生したと言えることが相当である」という相当因果関係が必要です。
損害の範囲が相当因果関係のある損害に限定されることは、不法行為責任でも債務不履行責任でも同じです。

損害の発生

不法行為責任が発生するためには、損害が発生することが必要です。たとえ相手方が故意に違法行為をしたとしても、損害が発生しなければ損害賠償請求をすることができません。

損害賠償を請求される不法行為はどのようなものがありますか?

今度は反対に、損害賠償請求をされる不法行為にはどのようなものがあるのか、具体的に見てみましょう。

具体例1 不倫

たとえば、配偶者のある人と不倫をした場合です。不倫のことを法律的には「不貞」と言いますが、不貞は民法上違法行為と評価されます。不貞をすると、夫婦関係に重大な危機をもたらし、婚姻関係を破綻させてしまいますし、それによって、相手の配偶者が大きな精神的損害を受けるからです。そこで不倫をすると不法行為が成立して、相手の配偶者から損害賠償請求としての慰謝料請求をされてしまいます。

具体例2 誹謗中傷

ネットなどで相手のことを誹謗中傷した場合にも、不法行為が成立します。 たとえばSNSやブログなどで、特定の人の社会的評価を低下させるようなことを書き込むと、それが名誉毀損と評価されます。名誉毀損は違法行為ですし、名誉毀損的な書き込みをされたら、書き込みをされた人は大きな精神的苦痛を受けます。そこでこの精神的苦痛が損害となり、加害者は被害者から、不法行為にもとづく慰謝料請求(損害賠償請求)をされてしまいます。

具体例3 スポーツでの事故

たとえば、スポーツをしているときに、一緒にプレーしていた人にボールなどをぶつけて大けがをさせてしまった場合にも、不法行為が成立してしまうことがあります。
ただし、通常のルール内で、普通にプレーしているだけでは不法行為にはなりません。その場合、行為に違法性が認められませんし、加害者に「故意過失」がないと評価されるためです。これに対し、故意に相手にボールを投げつけたり、足を引っかけて転倒させたり、重大な過失によって相手をケガさせたりすると、「故意過失にもとづく違法行為」と評価されてしまいます。その場合には、被害者から治療費や休業損害、慰謝料などの損害賠償請求をされてしまいます。

具体例4 いじめ

たとえば、子どもがいじめを受けた場合などにも不法行為が成立します。いじめは、故意による違法行為ですし、いじめを受けた子どもは、その違法行為によって、大きな精神的苦痛を受けるためです。
基本的には慰謝料が主な損害となりますが、いじめによって被害者の精神状態が悪化して、病院への通院が必要となると、治療費や通院交通費なども損害の内容に含まれます。
いじめによって子どもが自殺してしまったら、高額な慰謝料や逸失利益が発生してしまう可能性もあります。加害者の子どもが小さい場合には、親に責任が発生することもあります。

具体例5 痴漢

たとえば、痴漢行為をした場合にも、不法行為が成立します。
痴漢は犯罪行為にもなっている違法行為ですし、通常は故意によって行われます。
そして、痴漢をされると被害者は大きな精神的苦痛を受けるので、その賠償のため、加害者に対し、慰謝料請求(損害賠償請求)をすることができるのです。
そこで、痴漢をした加害者は、被害者から損害賠償請求をされてしまうことが多く、示談などによって解決される例もよく見られます。

不法行為による損害賠償請求に時効はあるのでしょうか?

不法行為の時効期間

不法行為にもとづく損害賠償請求権を持っている場合でも、長期間行使せずに放置してしまったら、損害賠償請求権が時効消滅してしまう可能性があるので、注意が必要です。
不法行為には、消滅時効があります。その期間は3年です。これに対し、債務不履行責任の場合の時効期間は基本的に10年なので、不法行為責任の方が短くなることが多いです。

不法行為の時効起算点

ただ、不法行為の時効は、「起算点」が債務不履行の場合と異なります。
不法行為の起算点は、「損害及び加害者を知ったときから」3年間です。
つまり、損害の発生や加害者を知らない限り、不法行為の時効の進行(カウント)は開始しないのです。たとえば、痴漢被害を受けても加害者が不明なケースや、物を壊されたことに気づいていない場合などには、不法行為の時効が進行しないので、いつまででも損害賠償請求をすることができます。

不法行為の除斥期間

ただし、不法行為には、「除斥期間」があることに注意が必要です。
除斥期間とは、その期間が経過すると、当然に権利が消滅してしまう期間のことです。
不法行為の場合には、不法行為時から20年が経過すると、除斥期間によって損害賠償請求権が消滅してしまいます。
除斥期間の場合、損害の発生や加害者を知らなくても進行するので、不法行為時から20年が経つと、相手の情報などを何も知らなくても、損害賠償請求ができなくなってしまいます。

このように、不法行為にもとづく損害賠償請求権には時効や除斥期間があるので、権利がある場合には、早めに請求をして賠償金の支払いを受けることが大切です。
自分では適切に請求手続をすすめられない場合には、弁護士に相談をすると良いでしょう。

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