損害賠償請求 FAQ
損害賠償請求 FAQ
知人に対して損害賠償を請求することが可能です。
法律上の根拠としては、民法709条が、故意または過失によって他人の権利を侵害した者は、それによって生じた損害を賠償する責任を負うと定めていることが挙げられます。
これを不法行為に基づく損害賠償請求権といいます。
人を殴るという行為は、故意による不法行為にあたりますから、それによって生じた損害、つまり医療費はもちろんのこと、精神的苦痛に対する慰謝料や、入院によって仕事を休まざるを得なかった場合には休業損害等を請求することができるのです。
目次
特に決まった方法というものはありませんが、一般的には、先ほど紹介した各種の損害を計算し、文書で相手方に請求することになるでしょう。
その際、内容証明郵便を利用すれば、郵便局に同じ内容の文書が保管されるので、いつ、どのような請求を行ったかについて記録を残すことができます。
相手方が文書を受け取った後、示談交渉に入ります。
交渉で合意ができれば、合意内容を書面化して示談書を作成します。
合意した内容が履行されれば、それで終了です。
もっとも、示談交渉をしても合意が成立するとは限りません。
合意が成立する見込みがない場合には、法的手続(調停手続や訴訟手続など)の利用を検討しなければなりません。
法的手続には、裁判所で調停委員を介して話し合いを行う民事調停と、裁判所の判決を求める民事訴訟などがあります。
民事調停はあくまで話し合いで、合意ができない場合には調停が不成立となり終わってしまい、改めて民事訴訟を提起する必要があります。
もし、相手方の主張との隔たりが大きい場合には、調停をせずに最初から訴訟を提起するということも考えられます。
損害賠償を請求するには、損害を証明するための資料が必要になります。
不法行為に基づく損害賠償請求が可能といいましたが、訴訟になった場合、不法行為があったこと、それによって損害を負ったこと及び損害の内容などは、被害者側が証明しなければならないとされており、証明できなければ損害賠償請求は認められないからです。
傷害を負ったことについて損害賠償を請求するには、最低限、医師の診断書、医療費についての病院の領収書が必要です。
治療の必要性等が争いになるような事案では、カルテや診療報酬明細書のようなより詳細な資料が必要になる場合もあります。
後遺障害が残った場合、損害賠償額は増額します。
後遺障害による損害としては、後遺障害についての慰謝料と、逸失利益が考えられます。
後遺障害による慰謝料については、後遺障害の等級ごとにある程度の目安があります。
逸失利益とは、後遺障害がなければ将来得られたはずの利益を失ったことをいいます。
後遺障害が残ったことで仕事ができなくなり、収入がなくなった場合などを想像すればご理解いただけると思います。
具体的には、後遺障害の等級に応じて労働能力喪失率という割合が決められており、傷害を負う前の収入にその労働能力喪失率をかけるなどして、逸失利益を算定します。
後遺障害の等級次第では、慰謝料や逸失利益が数百万円、数千万円になることもあります。